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病気と治療方法

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気分障害

分類

大きく分けて大うつ病双極性障害に分類します。

大うつ病とは主うつ病の誤訳で(中うつ病や小うつ病はありません)、最も多いうつ病を指している言葉です。大うつ病は躁状態にならないうつ病を意味し、躁状態を持つ時期があるときに双極性障害といいます。躁状態が軽躁状態以上にならないものをⅡ型、激しい躁状態になるものをⅠ型と分類します。

3年以上慢性のうつ状態が続くとき、うつ病の診断基準を満たすものを持続性うつ病、診断基準を満たさないが、鬱情状態が続くものを気分変調性障害と診断します。

そのほか、サブタイプがあって、急速回転型、季節うつ病、反復性のうつ病などがあります。

よくある質問と回答

  1. うつ病はどのくらいいるのか
    日本のデータはありませんので、正確には分かりませんが、欧米での統計だと有病率(現在うつ病の人の割合)は5パーセント前後といわれています。しかし、生涯有病率(易傷にうちでうつ病にかかる人の割合)は多い統計では男性17パーセント、女性20パーセントといわれており、かなりありふれた病気であるといえます。世界各国で近年傾向が認められています。
  2. 原因は?
    解明はまだ途上になりますが、この障害が脳の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンの代謝低下と関連することは確実です。ある程度遺伝傾向が認められます。環境要因も重要で、過重労働、対人的ストレス、近親や恋人、友人の死亡や別れ、経済状態の悪化などさまざまな環境要因が関与しています。
  3. どんな治療をするのですか?
    もっとも中心となるのは薬物療法です。うつ病治療の進歩は薬物療法の進歩と平行しています。
    現在第一選択剤として選ばれるのはSSRIとかSNRIといわれる薬物です。この種の新しい薬物が選ばれるようになったのは、まず安全性や副作用が劇的にて少なくなったことにあります。抗うつ剤は開発途上にありますので、選択できる薬物の幅は広がって治療しやすくなるでしょう。
    うつ病では、特有の認知の歪みが出て、否定的な思考に染められたり、一部の失敗を全体に広げてしまう傾向があります。先読みをして取り越し苦労をする傾向や、過去の失敗にこだわる傾向があります。そうした考えの癖を修正することはうつ病の治療に役立ちます。心理療法的な面接は薬物療法と同等に重要でしょう。
  4. どんなことに気をつければよいですか?よい食品がありますか?
    セロトニンやノルアドレナリンは脳の神経細胞の中で自家生産していますので、食べ物から直接脳に入りません(もし入ったら、大変なことになります。それで、脳と脳の血管の間には関所があって、物質が直接入らないようにしています)。うつ病によいといわれるサプリはすべて効果は否定されています。無駄なお金を使わないでください。
    運動や日光に浴びることは有用です。早寝早起きと、アルコールを飲まないことは是非実行してください。急性期(病気になりたてのころ)には十分な休養を取ることが大切で、無理に運動したり、外出すること、人に会ったりすることは疲弊させて悪化させます。
  5. 周囲の人はどんなことを心がけらよいでしょうか?
    一般に批判しない、説教しない、頑張れといわない、精神力で乗り切れてといわないというのが原則です。しかし、もう少し、患者さんの中に入って、して欲しいことを聞くと、「穏やかな無関心」が一番ありがたいといいます。穏やかな無関心とは、無関心や無視ではなく、それとなく関心をはらってもらいながら、そっと「どうだ?」とか「だいじょうぶか?」など、うつのことに触れないような接し方です。安心して休ませてあげる心遣いが重要です。
    後で述べますが、近年増えてきたのは引きこもりを主症状とするうつ病で自己中心的、他罰的、怒りなどこれまでのうつ病と違ったタイプの患者さんの場合にでは、この方法は通用しません
  6. 薬はどんな風に効くのですか?いつまでのめばよいのですか?
    SSRIはSelective Serotonin Reuptake Inhibitor(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRIはSerotonin and Noradrenalin Reuptake Inhibitor(選択的ノルアドレナリン、セロトニン再取り込み阻害剤)の頭文字を取ったものです。セロトニン(あるいは、および、ノルアドレナリン)だけを再取り込みすることを抑える作用がこの薬の主要な作用です。ちょっと難しい話ですね。

    神経(ニューロン)は脳の中でネットワークを作っていて、さまざまな神経細胞と連絡を取っています。その神経と神経のつなぎ目には実は小さな隙間があって、それをシナプス間隙と呼んでいますが、その間の情報伝達をするのがセロトニンやノルアドレナリンです。これを神経伝達物質と呼びます。
    神経伝達物質はこのほかアセチルコリン、ヒスタミン、アミノ酸などたくさんの物質が関与していますが、うつ病に関係しているのはセロトニンとノルアドレナリンです。

    神経終末から遊離したセロトニンは次の神経に到達すると神経受容器に作用して情報が伝えられるという仕組みになっていますが、実は受容器に到達する神経伝達物質は96%再取り込みされて元の神経シナプスに戻されて壊されてしまいます。4%しか利用されていないのです。この再取り込みを抑えることによって、多くの神経伝達物質が神経受容器に作用すれば、代謝の低下が解決することになります。
    選択的というのはヒスタミンやアセチルコリンには作用しないことを意味しています。これが抗うつ剤の作用ということになっていますが、実はそう簡単ではないことが分かってきました。

    再取り込みを抑える作用は服薬するとすぐに出現しますが、薬はすぐに効きません。それで分かってきたことは、抗うつ剤を飲んでいると、さまざまな変化が起こってくるという事実です。ます、受容器に多くのセロトニンが行くようになると、「来過ぎである」であるという信号を出して、セロトニンの産生を逆に抑えるメカニズムが働きます(ネガティブ フィードバックです)。そうすると原理的にうつ病は悪化しますね。実はダウンレギュレーション(下方に修正)といって一時よくなったうつ病が悪化することがあるのです。ダウンレギュレーションが起こってから本質的な症状完全がみられるようになります。

    まず、神経受容器の数が増加します。そして、受容器に入ったセロトニンを識別する特別なアミノ酸の量が増加し、サイクリックAMPという酵素が増加するようになります。されに興味深いことには、脳の中で唯一細胞分裂をする海馬の神経細胞が、うつ病では分裂が低下することが分かっていますが、抗うつ剤を飲んでいると、再び増加するようになります。海馬は記憶に関係する神経核です。こうして考えると、抗うつ剤の作用は、対症療法というよりはもっと本質的な部分で作用していることが分かります。

    ここで明らかになることは、
    1. 薬はすぐには効かない(3週間前後かかる)
    2. 効いてくると本質的な改善が見込める
    3. ある程度長期間服用する必要がある。
    ということです。

    ではいつまで服用したらよいのかということですが、これにも実証研究があります。

    よくなったらすぐに止めた群、3ヵ月間服用した群、6ヶ月、9ヶ月後まで服用した群、というように4つの群で再発率を調べた結果、長期投与群は明らかに再発率が減少しました。後療法として最低6ヶ月、できたら10ヶ月間服用した方が再発しにくくなります。ただし、再発率は0にはなりません。
  7. 再発率はそんなに高いのですか?
    そうですね。初回にかかった人が2回目にうつ病になる確率は50-60%といわれています。2回目の患者さんが3回目になる確率は85%という統計があります。うつ病は再発しやすい病気です。1年以内に再発するようであれば、継続して飲み続けた方が安全です。未服用ですと、5年以内の再発率は70%ですが、服用していると、半分以下になるという統計もあります。
  8. 副作用はありますか?自殺が増えるという話も聞きますが。習慣性はありますか?
    生命に危険をもたらすような副作用はまず心配しなくてもよいでしょう。よくある副作用は頭痛、吐き気、性機能障害などです。そのときには医師に相談してください。

    抗うつ剤によって若年者の自殺が増加するとアメリカ食品医薬局が警告しました。しかし、もともとうつ病は自殺させる症状があります。また、若年者の場合にはパーソナリティ障害の合併例が多く、更に自殺をリスクが高くさせるでしょう。抗うつ剤を服用すると、衝動や攻撃性が高くなる人もいて、攻撃性が自分に向くと自殺のリスクは高くなる可能性があります。単に薬をのめばよいというわけにはいかない理由がそこにあります。しっかりとした状態把握と、精神療法的なサポートが必要になるわけです。私自身は抗うつ剤が原因で自殺した例には遭遇していません。

    抗うつ剤は依存性がありませんので、習慣性にはなりません。ただし、ある種のSSRIは止めるときに離脱症状が出現しますので、医師の計画のしたがって、徐々に減量する必要があります。
  9. うつ病は心の風邪といわれていますが、私は10年以上うつ病に苦しんでいます。そんなに治りやすいのでしょうか?
    うつ病は簡単に回復する人と、長引いてなかなか回復しない人がいます。多くの統計調査は60%以上が慢性化すると報告されています。しかし、長期に回復しない理由は十分に抗うつ剤は使用されていない、薬物選択が間違っている、パーソナリティ障害が合併しているなどの理由があるようです。抗うつ剤だけでは回復しない患者さんにも、気分調整剤であるリチウムやバルプロ酸、あるいは甲状腺ホルモンやドーパミン刺激剤を併用するなどによって改善することができます。 医師とご相談してください。
  10. なにかうつ病の人に生きるためのヒントを下さい。
    そうですね。いろいろありますが、まず、考えの癖を直すことを勧めます。 人間の考えは微分回路と積分回路で動いています。微分回路というのは先読みしてこれからの変化に対応する思考パターンです。積分回路はこれまでの経験から現在もっともよい選択をするパターンです。うつ病の人は微分回路が異常に発達しています。

    これからどうなるだろうか、ああしておかなければならない、こうしておこうとか準備万端怠りない人です。しかし、未来の変化は無数で、その変数に一つ一つ対応していると、不安がどんどん増え続けて、疲労してゆくことになりますね。微分回路を止めて、積分回路で生きることを勧めます。積分回路は、いまからあれこれ考えるのではなく、その時点で一番よい選択をすることです。大体、数ヶ月先のことでさえ、変化が大きすぎて予測できないではないですか?微分回路も積分回路も人間には必要ですが、うつ病の人は微分回路だけで生きているように思います。前重心を積分カイロに移してちょうどよいバランスになると思います。

    それから、うつ病の人は散歩ができない人ですね、いつも目的に向かってひたひたと急ぎ足で歩いている人です。散歩をすれば、周囲の景色がよく見えてくるでしょう?発見も多くなるのでは?心の散歩を心がけることはうつ病の予防になります。